しゅよっくん3D化計劃の栄光と蹉跌

みなさん、初めまして。WASA鳥人間プロジェクト36代(20年執行代)電装班の天野と申します。今回は電装班1年生の制作課題であるしゅよっくん制作について書いていこうと思います。坦々としゅよっくん制作の話を書くのはこちらが辛いので、我々電装班1年が制作において直面した問題や反省点などを中心にまとめていけたらと思います。

 

WASA関係者の方はご存知かと思いますが、電装班では1年生の電装系に関する知識・理解の向上の為、公式マスコットキャラクターであるしゅよっくんを早稲田大学理工学部の学祭である理工展に向けて制作して参りました。例年しゅよっくんには実際の機体の制御を学ぶ為、距離センサー(高度計)、サーボモーター(操舵系)2個が搭載されています。また、本体はスタイロフォームで造形されており、平らな可愛いボディが特徴的でした。

今年で4年目を迎えるしゅよっくん制作ですが、「しゅよっくん制作に新たな風を吹かそう!」と意気込んでいた我々は、“平面からの脱却”をテーマに3Dプリンタでボディを出力、首と距離センサー部分にサーボモーターを搭載し、周囲の人を検知する仕様のしゅよっくんを制作する事にしました。

 

なぜ、このような仕様になったのか?

 

それには大きく2つの理由が存在します。まず、今年の電装班1年生が全員プログラミング経験者であった事です。前回の電装班紹介記事にもありました通り、電装班には現在3名の1年生が在籍しております。そしてその内全員がプログラミング経験者と云うかなりの幸運に恵まれました。しかし、経験者である事に多少の余裕を覚えていた我々は歴代のしゅよっくんを見て、

 

「あれ?これ、フツーに作れるんじゃね?(笑)」

 

などと、僭越ながら心の中で軽くマウントを取っていたのです。

そんな中、高校時代に3DCADを触った事のある私が「しゅよっくんを3Dプリンタで立体化しよう!」などと軽々しく豪語してしまった事により“しゅよっくん3D化計劃”は爆誕しました。これに拍車を掛ける様に、しゅよっくん3D化の話を聞いた18年執行代電装班の某先輩方による「完成したら焼肉」のお言葉。我々にはしゅよっくんを3D化するしか残された道はありませんでした。そう。全ては焼肉の為に。

 

ここからが制作。第2章の幕開けです。

 

プログラミングに関して自信のあった我々は当初「しゅよっくんなんて夏休み中に終わらせようね♪」などとしゅよっくん制作を軽々しく捉えており、設計コンセプトや仕様に関する話し合いを適当に済ませていました。さらに、制作を効率的に進める為、しゅよっくんに搭載するセンサーごとに分担を決め、それぞれが進捗を管理していました。8月上旬頃まではこの体制で何とか上手くいっていたものの、次第に不透明な仕様設定によるボロが出始めます。

 

「3DCAD完全に理解した。からの、3DCAD全然わからない。。。」

「あっ、パーツ買ってきてないじゃん。秋葉原遠いなぁ。というか、お金大丈夫??」

「えっ音声機能実装するんすか!?」

「基盤実装の担当誰?君?いや、僕じゃないよ?」

「何か、良くわかんないけどサーボ動いてるね。よし、時間ないしこのまま実装で。」

「そういえばこの計劃、リーダー居なくない?」

 

始めは些細な問題だったのかもしれません。しかし土台をしっかりと形成していない以上、一度傾いた当初の予定の崩壊は誰にも止められませんでした。度重なる遅延と膨れ上がる制作コストにより、結果としてしゅよっくん3D化計劃はお披露目である理工展前日の11月2日の夜まで続き、制作コストは2万円を軽く超え、しゅよっくんは従来の4倍近い価格の妖怪カネ喰いモンスターへと変貌を遂げたのでした。

まだまだ書き足りない事もありますが、制作に関するお話はここで終わりにします。

 

今回の制作では、プログラムや各種センサーへの理解以外にも多くの知見を得る事が出来ました。自分達への過剰評価、複数人でものづくりをする難しさ、各種仕様に関して共通認識を持ち合わせる事の重要性、「報告」「連絡」「相談」などなど。実機の電装系に携わる前にこれらの問題点に気付き、改善しようと思えた事は我々にとって非常に有意義な経験でありました。

 

しゅよっくん制作が終わり、1年生は実機の実装に向けて大きく成長しなければなりません。実機にはパイロットが搭乗しており、もちろん失敗は許されません。フライバイワイヤ方式により機体を制御している弊チームにとって電装系のトラブルはパイロットの命に直結します。「なんとなく動いた」「制作がギリギリ間に合った」では駄目なのです。パイロットに安心して飛んでもらえる、そして自信を持ってプラットフォームから「いってらっしゃい」が云える、そんな電装班へと成長していきたいと考えています。

 

最後に、しゅよっくん3D化計劃を温かく見守って下さった皆様に厚く感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

 

先輩方、焼肉まってます。

 

天野

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